川崎拓也・平牧和彦『東京喰種 トーキョーグール【S】』

登場人物たちの武器としての肉体=器官(「赫子」)から爆ぜる赤い火花や肉片、戦いの中で飛び散る血飛沫が、終盤のあるカットで、高層ビル群の無数の赤色灯に重なる。 ここにおいて(両者の「きれい」さが画の中で通じ合うことで)、喰種たち自身、そして死…

サイモン・キンバーグ『X-MEN:ダーク・フェニックス』

期待してた通り良いじゃないっすか。タイトで引き締まった仕上がりで、なんだったらブライアン・シンガーの過去作より全然おもしろい。ただ、かなり、というかはちゃめちゃ女性(のキャラクター)に関する描写や展開がひどくて絶句した。おもしろいからこそ…

2019年上半期ベストアルバム&トラック

順不同です。 サカナクション『834.194』 open.spotify.com明らかにシングルコレクションの趣きもありながらそれにとどまらない多様性。 Lucky Daye『Painted』 open.spotify.com恒例の(?)メロウ枠。 Future『SAVE ME』 open.spotify.comソウルフルフュー…

ジョン・ワッツ『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』

ヴェネチアでの序盤の戦闘シーンがバスター・キートンみたいで最高!…まぁあれを実際にやってたキートンはすげえって話なんですが(という以下に関係のない感想のようだがあながちそうとも言えない)。 映画を見ることは、始まりからイメージに騙られること…

リドリー・スコット『ゲティ家の身代金』

劇場で見れず、ブルーレイでようやく鑑賞。見終わって、おもしろすぎて放心状態になってしまった。近年のリドリー・スコット作品の中で一番好き。さらに言えば、今年見た映画の中で(とか言っても大した数見てないけど)一番食らった。 異様に細部が艶やかな…

ジョエル・エドガートン『ある少年の告白』

他の俳優よりも、監督本人が演じるキャラクターが登場した瞬間から映画が引き締まるという事態。 映画の中で、秘められること、詳らかに、露にされないことを扱うと、必然的に、それにまつわる言葉や動作といった、ある程度、同じ場に居合わせる人物たちの間…

兼本浩祐『なぜ私は一続きの私であるのか ベルクソン・ドゥルーズ・精神病理』

なぜ私は一続きの私であるのか ベルクソン・ドゥルーズ・精神病理 (講談社選書メチエ) 作者: 兼本浩祐 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2018/10/12 メディア: 単行本(ソフトカバー) この商品を含むブログを見る あるひとつの「もの」(他者、外部、環境)…

ロブ・レターマン『名探偵ピカチュウ』

全き、極めてパーソナルで、ドメスティックで、普遍的でないことが、ポケモンと接する自分の中に潜んでいて、それを除くこと、除いて語ることなどできはしないだろう。 そういった記憶や思いを抜きにすることができない人間としては、今から20年以上前、家の…

ガス・ヴァン・サント『ドント・ウォーリー』

AAとグループセラピーと講演会、(今作では交通事故という)決定的瞬間が除かれること、悪態と冗談と親愛の言葉、…おしなべて全てアメリカ(映画)の(重要な)構成要素である。しかもいきなり序盤に、星条旗を背にした演説シーンがあってびびってしまった。…

アダム・マッケイ『バイス』

ともかく、「一度終わって、もう一度始める」という構造が繰り返されていた。 そして、もう一度やる時は、前とは違い、使われるものはまがい物になってる、ということでもあった(むちゃくちゃな法案の中身は変えずに成立させるため、「規制緩和」である、と…

スパイク・リー『ブラック・クランズマン』

サスペンスの盛り上げ方、アンチクライマックス、明らかにタランティーノの手法、センスが使われている。 最初は「俺の方がもっと上手くやるし、ブラックスプロイテーションとかも俺の方が使うべきだろ!」みたいなことなのか、と思っていたが、これについて…

ティム・バートン『ダンボ』

最初に今作についての情報を知った時、ティム・バートンが実写化すべきディズニーアニメは、自分としては、バートン的モチーフに満ち満ちてるから明らかにピノキオだったんだけど、ただ、あえてダンボにしてるというところに期待してたし、あらためて考えれ…

アンナ・ボーデン、ライアン・フレック『キャプテン・マーベル』

予告を見て、倒れても何度でも立ち上がる主人公の画のつなぎに泣き、まさにこれは「なんでもできる!なんでもなれる!」じゃん、と思っていたら、本編もその通りだった。 電車を使った格闘シーンとカーアクション、のあまりのもったりさに不安になったが、そ…

クリント・イーストウッド『運び屋』

ちょっとこれ、一体なんなんですかね。何を見たのかという。 これはもう、イーストウッドの『紋切型辞典』(フローベール)ではないかなと。携帯、メール、Google、「タトゥー」、綺麗に切り揃えられた髭、「マッチョ」、「タンクトップ」、…など、自分より”…

ボブ・ペルシケッティ、ピーター・ラムジー、ロドニー・ロスマン『スパイダーマン:スパイダーバース』

主人公マイルスがやたらと何かを運ぶ映画だった。しかもその輸送は常に失敗する。しかし最後には成功するわけだけれども…。 映画というのは、原理的には、撮影時に何度も繰り返し同じことを演じ、撮られた映像を何度も見て繋ぎ、完成すれば何回でも同じ作品…

ジェームズ・ワン『アクアマン』

最初のシーン、主人公アーサーが生まれるに至る、ある男女の出会いと別れを、愚直に素直にかつ癖の強さも外さずに、過程を描くくだりでめちゃ泣いてしまった…涙が溢れて止まらなかった。こういうのに弱いんですよ。 そして、ジェームズ・ワンをよく知らない…

デイミアン・チャゼル『ファースト・マン』

近年の宇宙(を舞台にしている)映画は基本的には(まだ実現していないものも含めた)先端技術によって完璧に構築され保護された空間が登場する(そしてその範疇外の出来事・存在によって破壊される、というストーリーが待ち構えているわけだが)が、この作…

ピーター・バーグ『マイル22』

映画には、見ている自分自身にブーストがかかるシーンがあって、そういうものがあると一気に入り込めるというか、ぐっと前のめりになることができるのだけれど、この映画の場合は、マーク・ウォールバーグ演じるシルバとの会話によって、ジョン・マルコヴィ…

M・ナイト・シャマラン『ミスター・ガラス』

泣いた……これはもうほんとに「シャマ泣き」です(?)。この作品に関わらず、長ければ長いほどスムーズにいかず、一手一手で引っかかっているような奇妙さのあるシャマランの格闘シーンになる終盤は、普通にずっと泣いていた。それはもう、ここまでたどり着…

ダン・ギルロイ『ローマンという名の男 ー信念の行方ー』

主人公ローマンの、記憶力や集中力が高く、空気が読めず自分の考えに固執して我慢できず思いついたことを口にしてしまう、時に自身の周囲の会話がまるでフィルターかかったように聞き取りづらくなってしまう(と思われる演出がある、比喩としても取れるけど…

マーク・ウェブ『gifted/ギフテッド』

冒頭の朝食を食べるシーン、2人の人物の顔のワンショット、そのサイズや構図、ワンカットの長さ、切り替えしのテンポを見ただけで、もう満足、という感じ。この映画が信頼できるというのがすぐわかる。わかってしまう怖さ。カメラワークはすばらしい。ここぞ…

久保明教『機械カニバリズム 人間なきあとの人類学へ』

機械カニバリズム 人間なきあとの人類学へ (講談社選書メチエ) 作者: 久保明教 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2018/09/12 メディア: 単行本(ソフトカバー) この商品を含むブログ (1件) を見る 人間と機械・非人間はお互いに影響を与え合って変化する。…

2018 BEST ALBUM + α

今年も去年と同じくよく聴いたものから選んだ。結果若干反動的(?)なものになってしまったけど、個人の趣向なので仕方がない。 気分としてはアルバムの完成度がめちゃめちゃ高まってないなら、かえって寄せ集めというか、バラバラのほうがいいんじゃないか…

クリストファー・マッカリー『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』

ローグネイションと今作は真の意味で2部作(直結してるという意味ではない、けど、2本を続けて1つの作品としても遜色ない)なので、さしずめ"fall nation"とでも言えばいいのかな…とか考えてた。 ちょっと…完全に動揺してしまった。ここまでの美しい、様々な…

テイラー・シェリダン『ウインド・リバー』

この映画は、2つの顔によって挟まれている。 冒頭から矢継ぎ早に現れる「死体」たち。その後も、本作では戦争もテロも猟奇殺人も起こらないのだが、最終的には数々の死体が登場する。そしてそのなかで唯一、我々観客がたっぷりと時間をかけて「死に顔」を見…

佐藤信介『BLEACH』

シネスコで、町の全景や、屋上の空含めた画などがとてもよく、それを見せたいがためか、登場人物もやたらと屋上に行く。自由が丘っぽい最後のバスロータリーのシーンも、左右に広く人物や物を動かしていて画がキマっていた。 そしてとにかく、説明が最小限な…

リチャード・リンクレイター『30年後の同窓会』

リンクレイター、あんたって人は……つくづく良い映画を撮りますね〜そしていささかもぶれることなく反米の映画作家であると。ただ、今作はその反米っぷりがあまりにもあからさま、直接的なのに少し動揺した(『6才のボク〜』の時の立て看板も露骨ではあったけ…

ルカ・グァダニーノ『君の名前で僕を呼んで』

冒頭強調されるのは、ドタバタとした足音、過剰にすら思えるドアを閉める音。アメリカからやってきたオリヴァーが、そのドアの音にビクッとするちょっとした描写もある。その音は、その後この家の中で、人物の動きを姿を見せずに描く手段となる。人々は他人…

アンソニー・ルッソ&ジョー・ルッソ『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』

いやしかし、ルッソ兄弟万能か?CGのキャラクターのアクションて…とか思ってる頭が吹っ飛ばされる演出力。多種多様なキャラクターの動きの描き方の巧みさ。 冒頭のあの戦闘シーン、キャラクターのサイズ感がちょうど良いし、そもそもサイズ感をちょうど良く…

スティーヴン・スピルバーグ『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』

最初のシーン、絶対にこうで始まるだろうなというシーンで始まるのでうれしく、それがわかった私は実質スピルバーグじゃないでしょうか(違う)。 そして、最後にはこれ。『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』、最終的には良すぎるバーグだろ…となった…