キネ旬立ち読み。黒沢さんのインタビュー。『リアル〜完全なる首長竜の日〜』で、自分がひっかかっているところと、すこしずれているのが興味深い。綾瀬はるかの爆走からの有刺鉄線(『戦火の馬』!)より、船で去っていく佐藤健(『リンカーン』!)の方が気になってる。
3.11の影響下にあるという廃墟、自体より、島に到着した多くの観光客、という描写とのギャップの方がインパクトあった。その後の松重豊の発言で、観光開発は失敗したらしきことが明かされたのも衝撃だった。だってあんなに人が来てたのに…?あの人たちはじゃあ誰なのか…?という感じで(その辺の支離滅裂さ、は、後に種明かしされるある設定のせい、なのかもしれないけれど、しかし…という)。
あと、小中千昭が書いていた、演じる役者がいない代わりに(!)等身大の人間のプリントを使用した手法や、助監督の語る、車のシーンでのスクリーン・プロセス、などの、なんというか、映画での嘘のつき方の途方もなさ、言ってしまえば「なんでもありなんだ」という開き直り、は、すばらしいなと思った。
あとねー、隠ぺいし忘却した過去がよみがえり襲ってくるというのは、黒沢清映画に通底するモチーフ、というのは言いたくねーなーわかりきってるから。しかし大抵、そうした目にあう登場人物たちを破滅させるか、それまでとはかけ離れた場所・位置につれていってしまっていたのだけれど、今作では違う。彼らは、日常に戻って来ることができた。

言の葉の庭』で、主人公がヒロインの正体を知る、というくだりが、ほんとにただ、偶然会ってしまう、というだけで「処理」されてしまっている。例えば…と考えると、いろんな設定を作り替えなければならないんだけど(そして本来の設定の意味わからなさに改めて気付くのだけれど)。
主人公が高一ではなく高三で、卒業後の進路を見据えている(これ、まず一年生の設定が生きてない。つーか意味がないので変えた方がいい)。公園で雨の降る日だけ会う女性は、なんとなく会ったことがあるのだけれど、思い出せない。ある日、学校で、製作中の卒業アルバムを見る機会がある。その中の写真に目を奪われる。それは、一年生の時のクラス写真。「これ…」ある人物を指さしながら、アルバム編集委員の友人に、誰かと尋ねる。「あれ、覚えてないの?これ、教育実習生のさぁ…」その続きは耳に入ってこない。そこには、今とは違い少し髪の長く、眼鏡をかけている、あの女性が写っている。
どうしてそのことを、彼に告げなかったのか。彼女は、実習終了後、大学を卒業してある高校に勤めるのだが、そこで何らかの事件(ここはもうちょっと深く考えるべき。その後の展開に有機的に繋がるようなこと)があって、働くことができなくなってしまう。そうして失ってしまった教師としての自分を保ちたいがゆえに、うまくいっていた過去の象徴としての主人公に、自らの正体やおかれてる状況を秘匿する…。まぁ無理あるけど、とりあえず。
だから、主人公の求愛を拒否するのは、真実が明らかになる前でなければならない。だから、梅雨が明けた後の雨は、少なくとも2度、必要になる。それは、一つはゲリラ豪雨でもいいのだけれど、せっかく9月になるのだから、台風をつかってもいいんじゃないだろうか。
それに、実際の劇中の、豪雨に見舞われるシーンも、雨が降ってないのにタカオが公園に来てしまう、という重要な箇所なのだから、もうちょっとなんとかなんないんだろうか。
晴れ渡る空をみつめながら、うつろに携帯を見つめていて、ふと、何かに気付き、開いた扉から飛び出して、走って公園に向かい、いつもの場所に駆け込んできたタカオ。
「雨、降ってないよ…」「いや、もうすぐ…」という言うやいなや、雲行きが急激にあやしくなり、雨音がし、不穏な風が吹き、次第に豪雨になっていく。
「どうして…」手に持った携帯の画面を見せる。そこには、東京の地図と、その上を覆う様々な色の模様。「アメッシュ、って言って、…雨雲の動きがわかるやつなんですけど、……よかった、間に合って、雨に」
とか。
あと、スプリンクラー、とかね。それを雨に見立ててしまう。それとか、ユキノが、部屋にてるてる坊主を逆さにつるしている画を見せる、とか。
せっかくのすばらしい映像で語ることをもっと深く繊細にして行った方が絶対よい。そこを安直にしたら、台無し。

あと、最近聴いたもの。
花澤香菜『claire』
claire
カジヒデキ作の「ライブラリーで恋をして!」の言葉のセレクトに震え(「スペキュタクラー・レインボー」「パパよママよ ドント・ウォーリー」「一番のフェリシティ」)、meg rock作詞の「melody」のラップっぽさ最高だし、全体的に良い感じです(ざっくり)。語りっぽいところ、
最初は良さがよくわからなかったのだけれど、聴いているうちに花澤さんの特徴的な息まじりの声が心地よくなる。
サイプレス上野とロベルト吉野『TIC TAC』
TIC TAC
ひたすらにポップ。肩の力が抜けている。曲がなにしろ、普通に良い。好きだわ。リリックは少しダウナーなものが多いか?テンション低いエモさ(矛盾してる)。
ORIGINAL LOVEビッグクランチ
ビッグクランチ
い、いかれてる…。サンプリングや、ホーンセクション、ストリングス、…大げさなまでのゴージャスさと妙なチープさ。作詞センスも冴えわたってる。残酷さ、狂人の言葉の連関のような。

そして、Berryz工房の「ゴールデン チャイナタウン」「サヨナラ ウソつきの私」が、どちらもよいです。てか最近のシングル、すべて良い。ほめてばっか。


昔の娘。っぽい、つまり、ハロプロの王道を継承しているのはベリなんじゃないか、と思う。
そして、熊井ちゃんのメインっぷり。ビジュアルとしては、もともと圧倒的な力はあったので、そこに、歌声の独特さが加わって、という。
サヨナラ ウソつきの私」のももの独唱、やべーなー。ぞくっとした。

ロブ=グリエ『覗くひと』読んでる。

あ、うえお久光紫色のクオリア』買ったんだった。ちょっと読んだ。

ユイ、っていうか橋本愛に全面的にいらついている。