リチャード・リンクレイター『30年後の同窓会』


リンクレイター、あんたって人は……つくづく良い映画を撮りますね〜そしていささかもぶれることなく反米の映画作家であると。ただ、今作はその反米っぷりがあまりにもあからさま、直接的なのに少し動揺した(『6才のボク〜』の時の立て看板も露骨ではあったけど)。
しかし、リンクレイターの映画において、「否定」の言動がそのまま機能することはなく、多くの登場人物たちは否定を口にしながらも結果的には肯定の身振りをとってしまう。帰るといいつつ帰らない、やらないといいつつやる、買わないといいつつ買う、聞かないといいつつ聞く、言わないといいつつ言う、嫌いといいつつ好き……。
リンクレイターの登場人物たちは「素直じゃない」。だけど何かの拍子に、ふとあまりにも直截的な素直さが露呈する瞬間がやってくる。
じゃあどうして素直じゃないんだ、と言えば、『ローガン・ラッキー』のこれだからとしか言いようがない。


そして、女性の描き方見て、リンクレイターって本質的に「男の子」の映画作家なのかなと思った。マッチョではない、マッチョさを描いてもどこかそれを避けるような身振りが入ってくる感じ。男の子は素直じゃない……。

登場する幾つかのバー、ダイナーを見るだけで(cold pizzaにうまいビール)、ああこの映画ではアメリカの「場所」をしっかり表象しようとしてるんだなと感じる(ブライアン・クランストン演じるサルがNYで放つ「この小便の臭い!これがこの街の臭いだよ!」というセリフ!)。それはジャームッシュもソダーバーグもそうだ。某映画と違って……。