朝から働く。重い荷物を運んだり。
終わって、祐天寺をぶらつく。もつ焼きばんが、4時くらいですでに満席だった。「赤い鰊」という古本屋で、閉店セールをやっていたので、厚田雄春/蓮實重彦『小津安二郎物語』と後藤明生『笑いの方法』買った。
- 作者: 厚田雄春,蓮實重彦
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 1989/06
- メディア: 単行本
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- 作者: 後藤明生
- 出版社/メーカー: 福武書店
- 発売日: 1990/11
- メディア: 文庫
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うちに帰って、『小津安二郎物語』おもしろくてすいすい読む。やっぱり撮影現場の具体的エピソードが好きだ。
《で、小津さんとしては、英国国旗がはためいているところを撮りたくてしょうがないわけです(笑)。(…)/――すると、日本軍占領下のシンガポールに、大英帝国国旗がハタハタとたなびくという途方もない自体が出現してしまったわけですね(笑)。》(p132)
《(…)そいで、そこへ接収した敵さんのフィルムが入ってくる。それを溶かして飛行機なんかの塗料の材料にするわけです。だから航空隊が取りにくるわけですよ。/――なるほど、ハリウッド映画を溶かして戦争していたわけですね(笑)。》(p133)
『風の中の牝鶏』について。《(…)階段をころげ落ちるところは、浅草の曲芸の女の方がやってくれたんですが、小津組でスタンド・インを使って撮ったのは、後にも先にもあすこっきりですよ。/で、シンガポールで見た『風と共に去りぬ』にも階段があって、ヴィヴィアン・リーが突きとばされるでしょ。(…)あの階段のところは『風と共に去りぬ』のことを思い出しておられたんだと思いますよ。撮りあがったあの部分のフィルムをムビオラで、小津先生、何度も何度も見直しておられました。》(p137)
《ですから、顔の表情や動作で説明しちまうような人は駄目なんです。襟とか喉とかで繊細な演技をさせるというんですから。》(p142)
《俳優でもぼくらでも、「巧くなくってもいいんだよ」っていわれる。「熱心にやればその熱が出てくる。余熱がある。それさえあればいいんだ」ってよくいっておられましたけどね。》(p143)
ロー・アングルの画の中で、常に美しい足の裏を維持するために、《テストのときは、その大きい方の足袋を重ねてはかせてやるんです。で、「本番」ってときに、大きい足袋を脱いでやってもらう。》(p151)
《――「どうしてそんなにテストをするんですか」って岸恵子がきいたら、「それはねえ、恵ちゃん、きみが下手だからだよ」って笑っておられたというところですか。》(p166)
それから、小津作品の列車、移動撮影についてが読んでいて興奮させられて(というか聞き手のハスミンが興奮してるんだけれど)『晩春』見なくては…。
夜は近所の居酒屋で、もつ煮込み、麻婆豆腐、レバニラ、つくね。生ビールとハイボール。うまいんだけど、味の濃さ、しょっぱさが気になってしまうの、影響を受けた。