2018-01-01から1年間の記事一覧

2018 BEST ALBUM + α

今年も去年と同じくよく聴いたものから選んだ。結果若干反動的(?)なものになってしまったけど、個人の趣向なので仕方がない。 気分としてはアルバムの完成度がめちゃめちゃ高まってないなら、かえって寄せ集めというか、バラバラのほうがいいんじゃないか…

クリストファー・マッカリー『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』

ローグネイションと今作は真の意味で2部作(直結してるという意味ではない、けど、2本を続けて1つの作品としても遜色ない)なので、さしずめ"fall nation"とでも言えばいいのかな…とか考えてた。 ちょっと…完全に動揺してしまった。ここまでの美しい、様々な…

テイラー・シェリダン『ウインド・リバー』

この映画は、2つの顔によって挟まれている。 冒頭から矢継ぎ早に現れる「死体」たち。その後も、本作では戦争もテロも猟奇殺人も起こらないのだが、最終的には数々の死体が登場する。そしてそのなかで唯一、我々観客がたっぷりと時間をかけて「死に顔」を見…

佐藤信介『BLEACH』

シネスコで、町の全景や、屋上の空含めた画などがとてもよく、それを見せたいがためか、登場人物もやたらと屋上に行く。自由が丘っぽい最後のバスロータリーのシーンも、左右に広く人物や物を動かしていて画がキマっていた。 そしてとにかく、説明が最小限な…

リチャード・リンクレイター『30年後の同窓会』

リンクレイター、あんたって人は……つくづく良い映画を撮りますね〜そしていささかもぶれることなく反米の映画作家であると。ただ、今作はその反米っぷりがあまりにもあからさま、直接的なのに少し動揺した(『6才のボク〜』の時の立て看板も露骨ではあったけ…

ルカ・グァダニーノ『君の名前で僕を呼んで』

冒頭強調されるのは、ドタバタとした足音、過剰にすら思えるドアを閉める音。アメリカからやってきたオリヴァーが、そのドアの音にビクッとするちょっとした描写もある。その音は、その後この家の中で、人物の動きを姿を見せずに描く手段となる。人々は他人…

アンソニー・ルッソ&ジョー・ルッソ『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』

いやしかし、ルッソ兄弟万能か?CGのキャラクターのアクションて…とか思ってる頭が吹っ飛ばされる演出力。多種多様なキャラクターの動きの描き方の巧みさ。 冒頭のあの戦闘シーン、キャラクターのサイズ感がちょうど良いし、そもそもサイズ感をちょうど良く…

スティーヴン・スピルバーグ『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』

最初のシーン、絶対にこうで始まるだろうなというシーンで始まるのでうれしく、それがわかった私は実質スピルバーグじゃないでしょうか(違う)。 そして、最後にはこれ。『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』、最終的には良すぎるバーグだろ…となった…

リー・アンクリッチ『リメンバー・ミー』

死者、音楽、記憶といった1つ1つがかなりヤバイモチーフの繋げ方、取り扱い方の、針の穴通すような正確なコントロールっぷり。そして、「行きて帰りし」物語、無鉄砲で未熟だけど信念のある主人公、旅を経てなされる成長、ってつくづくピクサーの凄まじさを…

ライアン・クーグラー『ブラックパンサー』

1992年のプロジェクト、バスケットコート(子供達が、ティム・ハーダウェイみたいに……と言っててうわっカニエじゃん、と思った。"Like Tim, it's a Hardaway"……)から子供達が見上げる曇天越しの飛空艇の光。それはまるで宇宙から飛来したUFOのよう。そのUFO…

クリント・イーストウッド『15時17分、パリ行き』

とりあえずイーストウッドでいうとまさかの『ヒアアフター』の系譜だったの驚いてる。卑近な言い方してしまえばスピリチュアル的な、運命論的な。と考えて、最近のイーストウッドはみんなそうかと思い至った。 しかしこれ本当に一体なんなんだろう。いや何も…

マイケル・グレイシー『グレイテスト・ショーマン』

P.T.バーナムという「マジでヤバイ」人が今際の際に熱("Your fever")にうなされて見た走馬灯のような映画(バーナムが「どうしよう……そうだ!"ユニーク"な人だ!(目キラッ)」ってなるのとか言い換えの怖さ感じた)。夢と妄想と理想と願望が入り混じって…

ニコライ・アーセル『ダークタワー』

はっきり言って大好き100万点。めちゃくちゃ良かった。 神話のない国アメリカで、病的で狂ってパラノイアックな物語を紡ぎ続け、我々の想像力を豊かにしてくれている偉大なるスティーヴン・キングへ敬意を表し感謝したい、と強く思った。病んで狂った神話が…

マーティン・マクドナー『スリー・ビルボード』

最っっっっ高のヤバ映画。ビルボード=広告("Billboard lady"という鮮烈なイメージのフレーズ!)も、そこから、広告屋、契約、契約金、法律、放送と報道、そして警察、と数珠繋ぎに溢れ出てきてとまらないモチーフが、ピンチョンを思わせる。そうなるとさ…

キャスリン・ビグロー『デトロイト』

この構成の歪さ、異様さはなんなんだ。もちろん事実は小説よりも奇なりで、実在の登場人物たちの最早奇怪と言える現実の言動(そういった人物に対して何度も「ドラッグやってんの?」という問いかけがあるくらい)や、遭遇する有り得ない出来事によって要請…

ディーン・デヴリン『ジオストーム』

こういう作品を自分としては「ウェルメイド」と言いたい。"よいもの"でした。 別にそう思ってる人がいてもいいんだけど今作はエメリッヒではないと思うし、そもそも、なんていうんですか?バカ映画(こういう言葉大嫌いだけど)とするのマジで全然違うと思う…

買った本

金井美恵子『砂の粒 孤独な場所で 金井美恵子自選短篇集』 フィリップ・ロス『素晴らしいアメリカ野球』 横田増生『ユニクロ潜入一年』 上間陽子『裸足で逃げる 沖縄の夜の街の少女たち』 吉田健一『酒肴酒』 大和田俊之『アメリカ音楽史 ミンストレル・ショ…

マシュー・ヴォーン『キングスマン:ゴールデン・サークル』

多分ノイローゼなんだろうけど、記憶のモチーフだけならまだしも、なんと鱗翅学(しかも、諦めた幼い頃の夢!)、視界の中に飛び交う蝶のイメージ(それが過去や記憶と結びつく)、加えて故郷の喪失、異国としてのアメリカ、まで揃っちゃうともう……またナボ…