アンソニー・ルッソ&ジョー・ルッソ『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』


いやしかし、ルッソ兄弟万能か?CGのキャラクターのアクションて…とか思ってる頭が吹っ飛ばされる演出力。多種多様なキャラクターの動きの描き方の巧みさ。
冒頭のあの戦闘シーン、キャラクターのサイズ感がちょうど良いし、そもそもサイズ感をちょうど良くしたのがまず素晴らしい。あの肉弾戦で、アッこれは違うぞ、と一発で感じる。
しかし今作を見ると『ブラックパンサー』のアクションがいかに硬直してたかあらためてわかってしまうな(嫌いじゃないんだけど)。ルッソ兄弟の格闘シーンは、移動(自分の意志だけでなく、攻撃を受けることによるものも含めて)があって見ていて目が喜びますね。
そして、絶対勘違いなんだけど、アクションがあまりに魅力的だったので、もしかしたら初見の人も楽しめてしまうのでは…とMCUの中で初めてそう思ってしまった。
あと、敵であるブラックオーダーのキャラクター造形、それぞれの性質の配分、能力の使い方などの"マンガ"っぷりも非常によく表現されている。
もちろんそれだけでなく、例えば、恋する男女はガラス窓の前に配置する、とかもちゃんとやってるんだよねえ。あと列車とか。映画としてちゃんとしようとしてるのがわかる。


今作では、ガモーラの詳細な過去が明らかになるわけなのですが、つくづくガーディアンズ「偶然」に因縁付けられてるんだなとわかり、さらにMCU史上最もメランコリックなヴィランであるサノスも同様と言える。
さらに、スパイダーマンの扱いでも、ジョン・ワッツが提示したこのモチーフをちゃんと踏襲しているといえる。


と考えた時に、もしかして今作では、過去作品で提示された個々のモチーフをきちんと組みこもうとしてたのでは?という気がしてきた。おそろしいな、ルッソ兄弟



しかし『ブラックパンサー』と今作を通して思ったのは、ワカンダは撮るのむずい、ってことだな。というか、ドラマを動かす場所を見つけるのがむずい、って感じか。