深沢七郎『言わなければよかったのに日記』を読んでいる。エピソード、登場する人物のわけのわからなさは、たとえ、俗習的なモチーフをあつかわなくても描かれる。
今年初の映画…。村上淳ショーケンみたいでかっこよすぎたけど。
熊谷守一の絵について。形の輪郭の線を境目にして、色と色、形と形が、どちらが主でどちらが従となることがなく、存在というか強さというか、そういうもんが拮抗しているんだけど、最終からそう、というわけではなくて、完全にそうなる直前の作品は、輪郭の線はうっすらとしかなく、なんというか、色と色、形と形の間から、線が現れでてくるような感じだった。つまり、まず色や形があって、そこからあの境目の輪郭線なのかと思った。


ありふれた奇跡』を見た。冒頭から、陣内孝則のナレーションなのにもかかわらずすごい緊張感のある映像で、その後も、駅のホームで自殺をとめるまでの仲間由紀恵加瀬亮の動きはもちろん、他のなんのことはないシーンでも、なぜか手に汗握ってた。セリフのちょっとしたやりとりや言葉のチョイス、例えば家や部屋の中といった、限られた空間での人々の配置とか動きが複雑で手が込んでる感じがした。仲間由紀恵が家で、母親たちの笑い声がずっと聞ききながら部屋を順繰りに巡る感じとか、加瀬亮が家族で鍋食ってる時の、七味とってきたり、じいちゃんがテレビに反応してたり、風間杜夫が電話しに出て行ったりする感じとか。ものすごいはりつめた、一歩間違えたらすべてが崩壊しそうな雰囲気が常にあった。