サミュエル・フラー『映画は戦場だ!』読み終える。
ジョン・フォードについてフラーが語ることに感動する…いやフォードだけじゃないんだけども。
アナーキストで、あらゆる体制的なもの(戦争、権力…)に背を向け、独りでいること。それゆえ、しょっちゅう配給会社やらプロデューサーやら出資者とやりあうわけだが。それはフラーの映画が、彼らが見たくないもの(観客が望んでいないもの)を映し出していると思われるからだ。戦場の非英雄としての兵士(人殺しは英雄ではない)や、人種差別主義者(KKKへのこだわり)、などなど。
それに何より、フラーが、自らの映画の(構想に終わったものも含むが)オープニングや幾つかのシーンを語る下りがスリリングで素晴らしいのは言うまでもないし、それは映画を見ることに誘う。
ジャン・ルノワールサミュエル・フラーも、チャップリンを尊敬している。『映画は戦場だ!』にもたった一言、「ルノワール」という単語が登場するが、それはよりにもよって彼の葬式だし、そこでルノワール自身が語られるわけでもなく、ニコラス・レイの感動的なエピソードの語られる。ニコラス・レイだけでなくジャン・ルノワールもまた、15年ほどの差はあれど、同じ時代や場所を生きたわけだけども、と、読書の巡り合わせで続けて読んでしまった者はつい考えてしまう。