深沢七郎『庶民烈伝』を読む。最初に、呼び名・名前の由来の説明から始まる。それがすでに脱線しそうなエピソードを含んでいる。

ダニー・ボイルスラムドッグ$ミリオネア』を渋谷で見た。
汚れた子供らが、警備員(「dog」)に追い立てられ、空港から走って逃げ去って、スラム街の巨大なゴミ捨て場、上から見ると色とりどりの幾つものトタン屋根が折り重なっている町の中の、細い路地をすり抜けていく、その疾走する姿で泣きそうになった。ただ涙腺がゆるいだけか…。ともかくこの小さい子供たちのシーンが生き生きとしていて(糞まみれで遠くから走ってくるジャマール、走る列車の上ではしゃぐ兄弟、暴徒の間を逃げ惑う「三銃士」)良すぎた。その後の、少し大きくなってからの、昔の友達との路上での再会(「君の葬式で…」という発言!)も良い…「運が良い」「運命」がやたらと多用されていた…
あと、ジャマールの、あの自信と動揺が折り重なったような回答中の表情や、背の高さ、立ち姿のかっこよさが…もちろんラティカも。奇しくも女性の顔に傷ができる映画だった。歌が歌えるようになると盲目になる、というのも…(知識を得、代償として何かを失う)。
ゴミ捨て場ももちろん、巨大な洗濯場も格好良かった。「本物のインド」「本物のアメリカ」のグロテスクさ。そしてここでジャマールは目を怪我する。
でも最後は兄との対比でいくなら…。エンディングの歌とダンスで(ジャマールの幼少時代のダンスを思い出して)また感動した。