ポール・グリーングラスグリーン・ゾーン』見た。

ヘリへのロケットランチャー着弾、至近距離からの頭撃ち抜き、のワンカット、アップから全景へ広がって街の所々の爆撃や戦闘を写す、などの、ただでさえもとぶれっぶれのカメラがイラク(での戦闘)という状況に寄り添わなければなくなりさらに揺れが激しくなっていて、特に、いわばこの映画が追跡の映画だと言えるくらいに(『エネミー・オブ・アメリカ』!)、多発する追跡のシーン、一見無駄なフレディの逃走の際や、市場で激しく敵味方入り乱れての将軍の捜索などがひどいくらいになっている中、はっとする映像があったりする。それに加えて、密室、限定された空間で制約を与えられた中での肉弾戦なんかが、グリーングラスだなぁと。
国家という巨大な機構の企む陰謀・欺瞞・詐称を暴く、(ジェイソン・ボーンや)ミラーは暴こうともがく。しかしそれは、(ボーンシリーズとは違い)現実の出来事であるがゆえに、達成されることはない。おもしろいのは、このミラーは複雑で深刻な動機というより、非常に「シンプル」な考えから、この事件、というにはあまりにも巨大で抽象的なイラク戦争の疑惑に取り組んでいく。それは、彼が映画の最後で変わらぬ姿で行っていく、「任務(であり仕事)であるから」ということだろう。自分が置かれた状況によって行動を導き出していく。だから彼のすることは、イラクに居続けること、イラクで仕事をし続けることだ。
ピンチョン『競売ナンバー49の叫び』読む。遂に明らかになってゆく民間郵便事業の戦い。というか、流通が、図らずも政府や国家に対抗する手段になりうる、というのがおもしろい(そしてそれが必ず統合されてしまう、というのも)。