舞城王太郎『イキルキス』読み終えた。「鼻クソご飯」と「パッキャラ魔道」は、かなりConceptualだった。同一モチーフが繰り返し登場する…変奏。暴力や報復に支配された、壊れた語り手。その暴力は、ある一点を境に、うらがえってしまう。他者から・外部から、内部へ、自分に向かったものへ。かなり完成度が高いんじゃないか。舞城っぷりが薄まって、というか別な出方をしている。
《「よう、久しぶりじゃん。元気か?」「うん。ねえ、デビューすんの?」「するよー」「あんな歌で?」「はは。聴いたのか。やっぱお前気に入んないだろ。だからお前には言いにくかったんだよな」「………」「いいんだよクソの世の中はクソの歌で」「……バカらしい。もっとまともなことやんなよ」「へ。いいんだよ。俺はクソっぽく生きてクソっぽく死ぬの」「絶対嘘だよ。そんなふうには死ねないし、そんなふうに生きることもできてないよお兄ちゃんは。ポーズとパフォーマンスやりながらなんとなく日和ってんだよ」「知ってるよ。そういうの全部ひっくるめてのクソだから」「この間の下北沢のライブ、火い点けてやったの俺だから」「え、あ、そうなの?はははすげー。あぶねーよおめー」「ホントお兄ちゃんクソんなったな。こういうときに何で説教しないんだよ。笑ってる場合じゃないだろ」「だから言ってんじゃん。俺はぬるいクソなんだよ」「クソまで行ってない、中途半端なバカだよ。いろいろ面倒になったんでしょ」「お前がどんなふうに挑発しようと、俺は乗んねーよ。いろいろ面倒って言ったらその通りなんだよな」「バカらしい」「バーカ。バカはお
前だっつの」》(p207)この海外小説のような会話が、今までの舞城と少し違うというか。