デヴィッド・クローネンバーグヒストリー・オブ・バイオレンス』DVDで見た。

改めて考えてみたこと。
暴力が、なんというか、素早くない。鈍重とまではいかないまでも、それに近い感じすらする時がある。息子の金的が、もたっ、としているのはまだしも、最後の、兄の眼の前での、凄惨な暴力の時でさえ、トムは、急いで処理しよう、という気持ちすらないように見える。一発一発を、深く刻み込もうとするかのような。
冒頭のモーテルでのワンカット。死体が多分登場するのはわかって、いつ登場するんだよ、っていう緊張感が持続する、というわけのわからない感情。
トムが負う肩や足の甲の傷(足を引きずって歩く)。
最後の、屋敷の池での水浴び…池の水面の禍々しさ。
クリスティン・ジェフズ『サンシャイン・クリーニング』もDVDで見た。

こいつぁ大層な傑作。泣ける。何よりも、人をイラつかせるぎりぎりの線のけなげさがにじみ出る満面の笑みを持つエイミー・アダムスと、不満と疑問と悲しさが入り混じったふてくされ顔がうまいエミリー・ブラントの姉妹、というだけで見る価値あり。特にエミリー・ブラントは、あの妙な頭身とか、甥っ子をかわいがる時のはっちゃけ具合、リンへの優しさと同情のこもった接し方とか、おいしい場面も多くて、すげーかわいかった。エイミー・アダムスは依然としてあの痛々しさが上手。
あと、姉妹と母親との再会に、あーいう手を使われると無条件に感動。遠く離れた距離が一瞬で縮まるのが映像。