劇団ひとり『青天の霹靂』見た。

びっくりするぐらいよい。
まず細かいディテールがすばらしい。晴夫の部屋で、なぜかこれ見よがしに示される麻生希のDVD(エンドロールにソフトオンデマンドが…)、皿に出されたパックの形のままのご飯、の上にどろっとかけられるレトルトカレーの味気なさ。パンからぬけだしてしまうフランクフルト。
それにキャスティング。カマキャラで振り切ってる高橋周平(金髪にさせてるし)、お手の物な業界人キャラの入江雅人、ますますかっこいい(主観)柄本佑(ゲロ片付けさせてるし)、「あの」ネタで時間を繋げてしまうパルト小石、監督の信頼厚い岩井秀人、安定の前野朋哉、ちらっと登場する池谷のぶえ、そしてなんといっても風間杜夫!桐島の影響感じつつも、あまちゃんとか弱くても勝てますとかとは違い、渋いサイドのセレクトなのがすてき。
執拗にこだわられているワンカット、その中でアップと引きが混在するカメラワークのおもしろさ、が冒頭から炸裂してる。それが生み出す、吹き替えなしの大泉洋のマジックもすごすぎる。ここまでやらすか?普通。もはや狂気だし、そして柴咲コウが窓や空から差し込む光に照らされ美しくとらえられつづけるのは偏執的ですらある(彼女だけが特権的な扱いを受ける)。今調べると、どうやら撮影(こことかここがおもしろい)も照明も東宝のスタッフっぽくて、すげーと思った。空間でなくて物や人間で繋いでいく感じ?の編集もいいしなぁ。短い尺だけのことはある!
挙句ついには映像の中でシームレスに過去と現在を繋げてしまう(「場所」「位置」の力は借りているが)大胆さ。このCGの使い方もセンスあるとしか言いようがない。
浅草、というか、東京への愛があふれているように感じた(「捕鯨船」を出し、北野武、ではなくて、ビートたけしへ目配せもしているのが面白い)。確かにこれを見ると、もし山田洋次がもうやらないなら、劇団ひとりが新生『男はつらいよ』撮った方がいいんじゃないかと思う。主演は自分で、でもよさそう。
巨大なスクリーンのサイズで、中国人ネタ、何回もビンタはられるネタ、を見るの、感慨深かったの、自分でも驚く。きっと劇団ひとりが好きなんだと改めて認識。『完売劇場』とか最高だった。