見た映画。


デヴィッド・クローネンバーグマップ・トゥ・ザ・スターズ

復唱という行為(母が子の言葉を真似する、台本を読む、誓いの言葉)が呪術のように響き、災厄(招かれざる死者たち)を招く。
なぜならそれは繰り返しだから(ボルヘスが記した「複製」の忌わしさ)で、ならば、演技することや親子(生殖)(それを言葉にするなら「親の因果が子に報い」ということか)も同じである(だから現れるのは誰かの「母」か誰かの「子」の幽霊である)。
そして、閉鎖された環境に長時間、何世代にもわたり住まう人々の行き着く先は、自殺か殺人か近親相姦、そしてそこから抜け出すにはセラピーかリハビリかドラッグ、という歪みきったハリウッド観。それと前者のオカルティックなハリウッドが入り混じっている。もちろんこれはハリウッド、を、アメリカ、に置き換えてもよいわけで。
ともかく見ていてずっと不謹慎で不穏でおもしろいからまいってしまう。会話は執拗なまでにワンショット。こどもの暴力を堂々と見せ、直接的ではなく間接的に殺人もさせる。
ミア・ワシコウスカの血塗れヒロインっぷりには快哉を叫んだ。オリビア・ウィリアムズも出ててうれしい(燃え上がる姿!)。
エンディングの曲がミニマムな感じでかっこよかった。気になったのは、本編のアフレコが音質的に合ってないように感じたこと。わざとだろうか。


クリスチャン・ディッター『あと1センチの恋』

大げさに言ってしまうと、マリックとリンクレイター、なんですが。大げさすぎる。
印象的なのは、画面の赤と青。
砂浜の焚火に照らされる人物の顔とその向こうの海辺。赤くぼやけ滲む街灯と薄暮の青空。空港の、ロージーの青いスカート、アレックスの赤いチェックのシャツ(最後も種類は違うが着ている)。アレックスから届く封筒。
Lily AllenのFuck youをそのまんまのシーン(サビに合わせて顔面を殴る!)で使い、その後なんとKT tunstallのSuddenly I Seeが流れるという…好きだからうれしいんだけどこの曲を映画に使うというのが時代が一周ということなのか…リリーもKTもUKアーティストということなのかな。
リリー・コリンズは、まぁ、そりゃあかわいいです。衣装も良い(ホテルの清掃係の制服でもかわいい。最後のパステルカラーのパッチワークのコートが好き)。アレックス役のサム・クラフリンはニコラス・ホルトっぽさあったけど、どっかで見たことあるなーと思ってたんだけど、もしかしてハンガーゲームに出てたのか?あのいけ好かない、入場の時シャツレスだった…。