ジェイムズ・ジョイス『ダブリンの市民』を読んでいて、巻末に解題があり、そこで、短篇1つ1つの解釈がされているんだけど、それがたまに、あまりに細かくてちょっと深読みぎみなものだったり、悪意があったり(物語内容をネガティブにとらえている)して笑ってしまう…でも、ジョイスは、『ユリシーズ』もそうだけど、イギリスとアイルランドプロテスタントカトリックの文化(イェーツとか)や歴史や思想(的対立)や聖書を小説にもりこんでいて(引用したり下敷きにしてあったり…)(『ユリシーズ』ならここにシェイクスピアが加わるだろうけど)、それの知識がないと、わからない部分というのがある。
登場人物は鬱屈としている。何かを求めてるけど、それはかなわない。雨が降っている。企みがある人物(ナボコフの「夢に生きる人」ってジョイスっぽい…?商売人の密かな企み…)。頭と最後が死者にまつわる話。
暖炉の上ではじけるように抜ける瓶ビールの栓や、アヴェマリアを歌おうとする子ども、冷えて油がかたまってゆくキャベツの煮物、といった細部。
「母」の楽屋の風景の見えすぎるくらい見えてる情景描写。「恩寵」の、酒場のトイレからカーナンの家までの、場面のつなぎ方。
「新潮」の保坂和志と古谷利裕の対談がおもしろかった。あと、ピースの…!びびった〜やっぱあんだけいれば、純文学好きの芸人(それも太宰とか芥川じゃなく)いるのか。確か、どっかの、早稲田かの、卒業生だったような気もするが。でも古井由吉ってのはいい。中原昌也が好きな芸人とかもいる