『快適生活研究』を読み進める。「『古都』」で、女性誌のあおりを羅列するくだりがでてきてうれしかった。
《(…)トラちゃんからお見舞い、と言って、ゼム・クリップの入っていた小さなプラスチックの箱に赤いフェルトの切ったのを入れて敷いた上に、猫の抜けたヒゲと爪研ぎで剥がれた乳白色のカギ爪を入れたのを持って来てくれたので、私はニッコリした。これの本体をつれてきてもよかったんだけど、重いし、あいつキャリー・バッグで運ばれるの嫌いだからね。》p190
《私は相変らずの毎日で、考えなければいけないことは、先延ばしにして、時々、やたらと焦って、おちこむこともあるけれど、まっ、いいか、気を取り直す。/気を取りなおしてみたところで、まあ、ちょっとした目先の、ささやかと言うのも気がひけるようなことで、少しだけ、幸福、という大仰な言葉はとても使える身分ではないから、まあ、少し気分がよくなるという程度のことだな。》p184