ピエール・モレル『96時間』をDVDで見た。

リーアム・ニーソン導師、炎の説教・イン・パリ!!(CV.立木文彦)みたいな映画。
しかも93分という長さ、完璧。言うことなし。
作中、リーアム・ニーソン=ブライアンが、第三国での拷問は、電力が不安定であるという環境ゆえに、自分が今行っているものとは違い、「非生産的な方法」で為される、と語る。
では、生産的であるということは、どういうことか。
例えば、ブライアンの行動。
――娘からの電話で、彼女たちが危険にさらされているのを知った時、彼は、取り乱したりなどせず、すぐさま会話の録音の準備を始め、即、さらわれることは決定項であると判断を下し、救出のための情報の獲得に集中している――
――また、パリで、かつての旧友の家を訪れ、情報を得るために、ためらわず、その妻を銃で撃つ――
例えば、アクションの撮り方。この作品の、リーアム・ニーソンは、スピード感あふれて何が起こっているか分からない、というものではなく、相手の急所に確実に何か、手であったり、物であったりを、重めに当てて――また音響もそのような演出を施している――、きついダメージを与え、気を失わせ、もしくは即死させる、という暴力を使用して、そのように動いている。その瞬間を、すべてではないが、必ずカット内にとらえている。
あとは、カット割りと、その暴力の強力さ(一発で相手を倒すほどの)の演出、で、一連の格闘アクションをテンポ良く表現している。
短時間で、最大の成果を上げ、そこには無駄はなく、次の行動に瞬時に移行し、目的を達成する、ということ。ブライアンの一連の行動、また、この映画自体の構造、語り、映像の造り、にも、この文言は当てはまる。
というか、彼の行為が、映画をそのように駆動させ、また逆にいえば、作品の枠組みが、登場人物の行動を規定している、ということだろう。互いに有機的に絡み合っている。
ともあれ、『96時間/リベンジ』も見なければいけないな…。
松浦弥太郎『日々の100』、笙野頼子『人の道御三神といろはにブロガーズ』買った。