マイケル・マン『インサイダー』DVDで見た。

アル・パチーノ=バーグマンが、会社からむりやり休暇を取らされ、バカンスにきているビーチのカットだけど…なんなんだこれは。この天気、暗さ、海中に入っていくような動き。不穏すぎる。
そういった不穏さ、つまり何か事が起こりそうな気配が充溢している。ロードサイドで燃えさかる車、ラッセル・クロウ=ワイガンドが見るホテルの一室での幻覚(おそらく幻の娘たちがいる先は窓の外=B&W社であろう)、そのような画が次々登場する。しかし、決定的な出来事は起こらない。攻撃の予感、予告、「警告」だけが、(B&W社によって、一目見てわかるもの、画、つまり我々にとっては「映像」によって)なされる。銃がその姿を現すのは1度、しかも、ワイガンドが持ち出すときだ。相手側が提供するのは銃弾である。
画もそうだが、ストーリーはくそ暗くなる、落ち込む。何かを得ることはできず、失うことばかり。これを見た誰が内部告発者になろうと思うのか。脚本はエリック・ロス。やっぱちゃんと見よう、『グッド・シェパード』とか。
そして、大好きなCBSドキュメントの間を持つ映像が見れて、テレビ欲しくなった。いまでもやってんのかな、水曜深夜に。
スパイク・リーインサイド・マン』DVDで見た。

タイトルの類似性は完全に天然。しかも、こっちにもクリストファー・プラマー出てるし。
デンゼル・ワシントン大先生が、帽子(パナマ帽)をかぶり、しかもそのつばをさっと触って整える所作…かっこよすぎるなぁ。こんな刑事いるのか。この写真の正装っぷりとか最高。
ちょっとした言葉遣い、単語(「bull shit,bull shit,bull shit!」の言い方!)、会話、の口悪さのリアリティが素晴らしい。ギャグとかもね(「靴見せろよ」のくだりのくだらなさ)。
ジャンルとしてのサスペンス、というか、コメディの領域にある。Big titsの女を見せた後に、犯人グループのタンクトップの女のシーン、というつなぎ方もげすで笑ったし、絶対殺さない、の直後の射殺、という間もなんとも…。
見終わった後、いろいろ検索してたら、この映画の真相、みたいなものを書いている人がたくさんいて、へーっと思った。全然裏読みしなかったので。
ただ、最後、ジュディ・フォスターに渡したペンは、録音できるやつだよね?…ああ、あれ、会話を録ってたやつか。今気付いた…。あかん。
でも、人種差別に対する糾弾、は伝わった(差別を直接せずとも、リベラル面して、実はその構造から利益を得ていたものも)。そして、それをせざるを得ないのか、という問い(12歳の黒人の少年に撃たれた警官とデンゼル先生の会話)。
しかし、戦争犯罪として裁くということは、それはいかなる時でも許されない、ということか。
デンゼル先生のフィルモグラフィー見てたら、デヴィッド・クローネンバーグ『マタレーズ暗殺集団』っていう作品が…。ウィキのあらすじが適当すぎて二度見したけど。ほんとかなぁ…。
iTunesで「ドラマチックマーケットライド」と「ねぐせ」売ってたので買いましたわ。