金井美恵子『本を書く人読まぬ人とかくこの世はままならぬ PART2』読み終えた。
本人が「罵詈雑言を書くのは好きではないから」(p94)と書く通り、ある本について、ある人物について、のすばらしさがたくさん書かれていて、たくさん本が読みたくなる。
――しかし金井美恵子は罵詈雑言なんて書かないが。ある小説の、女性の服装の描写を引用するだけで、そのだめさを読者にわからせてしまったり、蓮實重彦との会話ででてくるような、「(フェミニンな)悪口」だったり、そういうものだ――
大岡昇平(《(…)上機嫌に笑いを噛み殺した少しくぐもった声で、あれっ、おれはあんな馬鹿なアンケート無視したのに、あれっ、おれの文章が載ってるじゃねぇか、と、おっしゃり、アハハハ、と声をたてて笑うのだった》p104)、谷崎の『細雪』、吉田健一(というよりその、《ルビッチの映画に登場する美女のよう》であるに違いない母親について…《(…)唯の吉田さんだから意気なのよ》p177)、石井桃子(《(…)「トムのまえにトムなく、トムのあとにトムはなかった」(…)》p188)、イーストウッド(《(ゴダールは、なぜイーストウッドのような者があんなに素晴らしい映画を撮ってしまうのか、といったものだ)》p235)、ケネス・アンガー『ハリウッド・バビロン2』(というか、シネマテーク・フランセーズの創設者アンリ・ラングロワについて…《(自分などとても及ぶものではない映画の情熱に燃えた、シネマテークの専制君主、と彼は書いている)》p250)、, 蓮實重彦『光をめぐって』(《本書のもう一つの主題は、映画は最低二人以上の人間たちによって作られる、ということである。》p277)、武田百合子の『日日雑記』(そこで描かれる「薄紫色」のスカーフを首に巻いた「おばさん」と「甘栗屋のおじさん」の間で為されるしぐさの素晴らしく「もったいない」描写(p294)を読んだときの、小説家としての「嫉妬」)、などなど。
あと、高見順の、《(…)三島由紀夫について「彼のような才能のある作家を真に偉大な作家にするため、彼のそばに私がいてあげたら……と思う」と、まるでおかあさんか文学少女出身の愛人のような「世話好き」》発言(p244)に爆笑したり、金井さんから若い人への、《(…)馬鹿な大人に出あっても、若い皆さんはまあ、絶望的にならないことだ。嘲笑を研ぎ澄ましつつ、自分のモラルを鍛えて行く以外にないのだから。》(p107)というさりげない励ましにぐっときたり(このエッセイ自体、作家の第一作を「処女作」と称するその単語の「性差別」的な不快感をまとわせているような気もするのだが)。
とりもなおさず、ジョン・フォード『捜索者』見たい。
気になった本。
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エマ・サントス、岡本 澄子『私は、エマ・Sを殺した』も。
TRICERATOPS『DAWN WORLD』買った。
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なんつーか、PVもそうだけど、東京のノスタルジーという感じなんだよな。
うみのて『IN RAINBOW TOKYO』聴く。
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