だらだら寝つつ、めしを食いつつ、中原昌也『こんにちはレモンちゃん』読み終えた。
《所詮、自分というものはこの世界には存在せず、寧ろ他人に認識されることを拒み続ける幽霊のようなものでありたいのだ。》(p138)
《複雑なまでに、それぞれ違う文脈の末に、こうして生きてきて、なんとなく同じ言語で、わかりあったような気分になっているが、実際には何もわかり合ってはいないのだ……。》(p185)
使用される過剰な比喩表現が、今までと異なり、揶揄ではなくて、真に迫っているように感じた。特に「死者の家にて」という短編。作者の意向とはともかくとして。抒情すら漂わせている、上手い比喩、異なるイメージの繋げ方。
でもすぐの後に、異なる動物を使った剥製作品だの、「若い世代」だのが出てきて、その振れ幅に笑ってしまった。
あと、「アイ・アム・ア・ドリーマー」の、延々と続くスパムメールの文面は最高。


昨日夜、下水臭い街を闊歩する仮装した人達を見て、自分が知らない間に世の中はすっかり別のものになってしまったんだと感じた。