マイケル・ベイトランスフォーマー/ロストエイジ』見た。

んだけど、もうほんとにやばすぎて頭痛い。見ていてつまらないとか、退屈とか、つらいとか、そういう次元を超えた何か。現代美術とか言いたくないけど。これが世界に受け入れられる「おもしろさ」なのか。これをおもしろいと思う人がどれだけいるのか。気が狂ってるとしか思えない。最早、映画ではない…じゃあなんなのか。合間合間の(いつものa.k.a.ベイ演出)スロー・仰角ショット・爆音をオフにする処理(意図はわかる、んだけど、くりかえされてゲシュタルト崩壊起こした)・妙にウェットな演出(突然のラブストーリー感の噴出)、には乾いた笑いで対応するしかない。
プロダクトリプレイスメント、事前に知っていたので衝撃はさほど無かったけど(後ろでちらつくグッドイヤーのロゴ、西部警察OPかよ、と思った)、一番笑ったのは、ぶっ壊された二階建てバスで、なぜかヴィクトリアシークレットのロゴが書かれた車体の部分だけがカメラの方を向いたままで残り続けた時。必死か。でも見た映画にすぐ影響されるのでバドライト飲みたくなりましたよ(フーターズとかで飲めるよな確か)。
あと、例えばリメイク版『ロボコップ』も、今考えたら中国での工場の場面はアレだったんだろうけど、それでも画的にもそれなりに機能していた設定だとは思うのだけど、今作は…。ジャッキーオマージュはあるけども。全然、不自然にしないようにしようという配慮されていないんじゃないかな。そういう意味でも、創作物として半端なく「ヤバい」と思う。
人間の起源への遠回しな言及(ある意味「早められた」進化)、古びた映画館に潜むトラック(!?そしてしれっと運び出される映写機)、からスタートするのは、ばかばかしくも、おっ、と思ったし、平野を貨物列車とオープントラックが並走し、運転席越しに陽光が、というカットは良かった(でも我慢できずにすぐ割られてしまうけど)。
キャストに関して。ニコラ・ペルツ、めっちゃへただったなー。序盤のワンショットの独白みたいなとこ、素人かよ!?っていうクオリティでした。ただ泣き叫ぶ、エモーショナルなシーンでは見てられる。にしても、瞳の色がきれいだったなー。「今日はセクシーだね」「シャツを脱いだらどう?」みたいなくだり、そのあとのルーカスの「ホットなティーンエイジャーだろ?」発言、果ては映画内じゃないけどGQでのインタビューでマークが「ニコラ・ペルツのホットパンツが最高じゃない?」発言、と、まぁともかくそんな感じの「売られ方」してるということか。でも、(ミーガン・フォックスのように)そこまで過剰にホットというよりむしろこどもっぽいキャラクターを強調されていた(その代り、といってはなんだけど、KSIの「社長お出迎え」女子社員は「いい女」揃いになってた。リー・ビンビン含めて)。
のはなぜか、といえば、マークが父親役、というのがあったからで、なにかずっしりと来たよこの設定には。灰色Tシャツの脇汗はあったけど。とはいえ、「キュート」で「セクシー」さを、娘の相手役の若い男の子にゆずり…とはなってないのがおもしろいんじゃないかと。ポンコツっぷりが目立っていたし。そんなでも、「お父さん」より「彼氏」だったり、でも肝心な時は「お父さん」を呼んだり…てな揺れ動き?を見せていた。あと、エンジニアとか言っときながら、やってることはロボットを叱ったり、はんだ付けしてるくらいなのしびれた(マッチョサイエンティスト、といえば、『アイアンマン2』のミッキー・ロークを思い出すんだけど、あっちはまだPC触らせてはいたけど――っつってもそれしかねぇか――、今作はほとんどなし。ゲームで遊んでる子供見たく見えてしまうマークの含蓄)。
今回の「狂った大人」役としてのスタンリー・トゥッチ…かと思いきやそこまで狂気に満ちてない。最後の「抱擁」には心の底から爆笑してしまった。
…とここまで考えてきたけど、やっぱり、ぶれすぎてる。ぶちこみたい要素によって、ゆらがないほうがいい設定がこわれまくっている、という印象。一本の筋、もあるようでないし。まぁあえて言えば、やはり「アメリカ」(敵の口から繰り返される「国防」)、星条旗(への執着)、ということなんだろうか。中国で五星紅旗ははためいてないしな。
以下、「N・ペルツ&J・レイナー、M・ベイ監督と挑んだ新しい『トランスフォーマー』作り「独自のものに」 (1) 一発で決めないといけない爆破シーンの緊張感 | マイナビニュース」より引用。
《マイケル・ベイ監督からは「とにかく100%全力投球すること」、そして「さもそれが本物であるかのように説得力のある演技をしなければならない。ロボットというものを扱った映画でも、人間のキャラクターをしっかり出せていなければならない」と言われました。》
《自分たちのキャラクターを開発して、新しいオリジナルのものにしようという思いで挑みました。シェーンがアイルランド人というのも新しいもので、マイケル・ベイ監督と最初にキャラクターについて話した時に、シェーンをアメリカ人にするかアイルランド人にするかという話があったのですが、最終的に多様性を出すために、監督がアイルランド人にすると決めたんです。それによって、より国際的な観客に向けて幅が出せ、特にヨーロッパの観客の方にも共感していただけるものになったと思います。》
最高だな。