デヴィッド・ロウリー『ピートと秘密の友達』


家族、自然、フォークロア、子ども、冒険、友情、別れ(喪失、lost)と出会い(新しい集まり、union)。"古き良き"アメリカの映画。
家族を失い孤児になったピートは、自身をその境遇から救ってくれた者に、"迷子"の犬の物語からエリオットと名付ける。エリオットという迷子になった犬の名を、迷子になったピートがドラゴンに名付ける。というところに、lostという言葉の広がりがある。
lostするというのを、"消えた"自分を探す者が"いなくなる"ということに言い換える。ピートが、不可視の能力を持つドラゴンにエリオットと名付けることは、両者がlost状態にあることと、しかしお互いがお互いを見つけた/見つけることができる、ということになる。
lostするだけでなくて、lostしたものを取り戻す/獲得するまでの物語(グレースは隅々まで知り得ていると自負していた森の新しさ=ピートとエリオットに出会う)。
炎を吐き橋を破壊するのと同時に落下しそうな車をせき止める行為があからさまな喩えになっているけれど、竜は人間を襲いもし救いもする自然の象徴で、完全に御することなどできない。