バリー・ジェンキンス『ムーンライト』


ダイナーのシーン、ロケーションやカメラワークや照明やセットや人物の動かし方や動作・所作や演技や表情や視線の動きやセリフのクオリティ、張りつめ方がとんでもないことになっていて、ジュークボックスで流す曲による(二人の「関係」の)「ネタバレ」が弛緩してると思えるくらい。だけどほんとはそんなことない。
あの終わり方もすごいというか…勇気を持ってあそこで終わらせてるという感じがした。絶対誰かにやめたほうが良いとか言われてるはず。あれを選ぶというのが作家だよなと。
今作を見た人が、「あの映画はなんだったんだろう…」と考えるしかないのと同時に、劇中の人物たちも「あの出来事はなんだったんだろう…」と考えるしかない。そして多分考えても何も答えや結論はない。
ティーンの時のシャロンが同級生にいわれる、「なんでお前のジーンズはそんな細いんだよ?」という"いじめ"が時を経てその機能を失ってますよね(だからケヴィンがその男子を「レゲエ野郎」と言うわけで)。今時、スキニージーンズの"ニガ"は何も珍しくなくなったのでは。