ジェームズ・ワン『アクアマン』

最初のシーン、主人公アーサーが生まれるに至る、ある男女の出会いと別れを、愚直に素直にかつ癖の強さも外さずに、過程を描くくだりでめちゃ泣いてしまった…涙が溢れて止まらなかった。こういうのに弱いんですよ。

そして、ジェームズ・ワンをよく知らないんだけど、メラのキャラクター造形からして、もしかして『フィフス・エレメント』好きですか?と思ったり、あとこれは言わずもがなだけど、アーサーは悟空であり悟飯、オーム王はベジータフリーザだし、デフォーさんは実質ピッコロさんじゃんという…そうなるとメラはブルマ、ってか鳥山明ヒロイン感がすごかったし…カプセルコーポレーション…となったり、重要な武器であるトライデントを手にする時のやけにピコピコした効果音や、知らない自分でも一発で好きになってしまうブラックマンタの「手作り」シーンとか(原作そのものかもしれないけれど、こういうのを外さず時間をかけて作ってしっかり描くのが素晴らしすぎる!)、ラストバトルの、アーサーのでっかいタツノオトシゴの乗り方のモロさ(!)とか、ある種冷徹な、ある指針、特定のセンスに貫かれたジャッジが繰り返されて構築された映画という印象。このシーンでこの人物はこういう行動をする!そしてそれをこう撮る!というのがいちいちキマってる。そして編集も!モンタージュ、ベタになるのを恐れないセンスにニヤついてしまった。

さらに、途中でカルヴィン・ハリスのFeelsのMVくらいのクオリティーのセットのシーンがあってめっちゃテンションあがっちゃった。常々ドン・バージェスのカメラは、あからさまな偽物、ミニチュアやセットを撮ってこそ光る、と思っていたので今作はまさに、という感じだった。

ドリーショットで近づいて、人物がポン、と何かを言う、みたいなシーンがしょっちゅうあって笑ってしまった。一番笑ったのはウィレム・デフォーさんの「…王の降臨だ」みたいなやつ。デフォーさんでさらに言えば、ハンマーヘッドシャークに乗ってスゥ…って近づいてきた画にめっちゃ笑顔になれた。

あと、なんかシガーロスっぽい曲が流れたけど…まさか…と思ったらエンドロールでおもっくそシガーロスと判明、驚愕。