そういやニコニコに黒沢清の『花子さん』があったので久しぶりに見た。ほんと、胸くそ悪くなるストーリーとキャラクター。馬渕英里何のどん引きした真顔とか、ベストのタイミングすぎていらっとくる。加瀬亮の意味不明の悪意とかもはやトラウマ。『LOFT』の西島秀俊を見たときこれを思い出した。
花子さんの悪意の定まらなさがおもしろい。そして定まらないままで外界へと花子さんが放たれてしまう。これが『回路』へとつながる。
教室のワンカットや屋上の机といす、の低体温な違和感がいかにもって感じだ、と今なら思うけど。
加藤晴彦とかすげーいいんだけどな。もっと出ればいいのに。


スティーヴン・スピルバーグミュンヘン』をDVDで見た。

車(機能が魅力的に描かれる)、異なるラインで同時になされる移動(暗殺の緊張感!)、鏡(アヴナーの背後で、揺れるカーテンを移す)、ガラス(向かい合う人物の映像的処理)、銃撃戦(ベイルートのだだっぴろい空間での戦闘が異様さ!)、人の殺し方(オランダ女の殺し方はすげぇ)、暗闇(ミュンヘン虐殺の回想の質感がたまらない…これがカミンスキー節ってやつなのか)、光、…これら映画的要素が満ち溢れた作品。しかし爆発や、車中での写真からのカメラワーク(『トゥモロー・ワールド』みたいな)、はCGじゃないかと思うのだけど、というか明らかにCGってことが分かるのがちょっと問題じゃないだろうか…と思ったりした。それはともかく。
ストーリーの多重化の度合いがものすごい。「tough issue」であるがゆえなんだろうが、ここまであらゆる面から考えさせられなきゃいけないなんて、つかれる、もちろんいい意味で。そして、エリック・ロスについても当然考えるわけで。ある種この人って、CGの脚本家、というか、『フォレスト・ガンプ』とか『ベンジャミン・バトン』のようなCGの使い方を誘発する脚本家、って感じなのか。ラストシーンのWTCとか。
この俳優の人選もすごいな。激シブというか。暗殺チームのキャラクターの振り分け方もすばらしいし、皆が死んでいくのも、その壊れ方とあいまって、泣ける。
kanyeは普通でした。