青山真治『共喰い』見た。

蚊帳の中でのセックスのあとでも、いきりたっている円の、というか光石さんのアレ、が、そのまま、息づかいが相まって、遠目からだとまるで激しく絡み合ってるかのような格闘ののちに円の身体に突き刺さり死をもたらす、まるで突起物のような仁子さんの金属の義手へ。
その場から琴子さんが立ち上がっても、腹をなでる仕草を続ける円の手が、もうそこに義手をかける当の本人はいない、吊り下げられた洗濯ばさみと針金に近づく遠馬の手へ。
ある映像の表象から、それと相似形を為す別の表象へ移行され、ある事物に――それは前述の、男性器であったり、義手であったり、うなぎであったり、なによりもまず、川なのだが――複数の意味が重層される。
それは、はっきり言ってしまえば、昭和から平成への移行であり、天皇という存在(とその崩御)のことなのだろうと思う。
しかしあの田中裕子に真正面から攻められる菅田くん、がんばっとるなぁ。ありゃあやばいですよ。
そして、息子の願いむなしく、唯一の機会であるうなぎ釣りでも集まらない家族3人が、ラスト、川を挟んで、揃ってしまう、しかし視線が交錯したのかしてないのか、わからないまま、という演出。すげぇな。
義手を抜く時、大きなスポッという音がするというの、何かの映画で見たような気がする…。思い出せないが。

坂口恭平『モバイルハウス 三万円で家をつくる』読み始める。あいかわらずおもしろい。根源的な問いへと向かっている。にしても、『坂口恭平躁鬱日記』読みたいな。