ハラルド・ズワルトベスト・キッド』見た。

影絵小屋での待ち合わせ、という時点で、なにか(いい意味で)きな臭いにおいはしていたけど、まさか、あそこまで行くとは…。光源に照らされるドレとメイのキス、そしてその後の、ヘッドライトに照らされる修行風景、という、光と影を意識させる演出がすばらしかった。
大事な瞬間、は、影としてしか示されない、そのもの自身ではなく、投影されたものを見ることしかできない(演出過多のように思われたトーナメントでは、試合の結果は必ず大画面に映し出されてから「公認」される)。そこに映されるのは、あやつり人形だ。誰かに自分を支配されている、誰かの言うことを聞くことでしか生きていけない存在。ただ、それも、蛇と女性の挿話を思い返せば、実は逆転可能な構造なのかもしれない。そのことまで、この映画は触れてはいない。ただ少なくとも、自分で自分の状況を好ましく変化させていくためには、その状況に合わせること(言語を習得すること、学ぶ=まねぶこと)が必要になる。それは、屈することではない。日常に寄り添う、というか。…「すべてがカンフーだ」というハンの言葉が示すことだろう。上着を脱ぎ着する行為一つとっても。
子供のガチバトルは少しばかりげんなりもしたが、あの修行風景(ただの子供の山登り!、ももちろん含む)の胸にくる感じや、いじめの様子と逆転劇のカタルシス、があったので、まぁよしとしよう。それにしてもつくづく思うのは、自分が、ただ子供が走り抜けていくだけのシーンで簡単にかんどうするなーということだった。あのぼろぼろの町並みをすり抜けていく行為…。あとリンかわいいっすね。
DORIAN『Melodies Memories』買ってちょっと聞く。