エンリーケ・ビラ=マタス『ポータブル文学小史』読んでいる。ゴンブローヴィッチ出てきちゃったよ…おそろしい。
すごくおもしろいんだけど、そのおもしろさを、こんなに説明しずらい小説はないな。例えば、こんな一節。
《「ごく些細なものやこの上もなく小さな事物を感じること、それが強烈な経験になっていることに気がついた。こうなったのも自分がとるに足らないものを愛しているからにちがいない。それと小さなことにこだわる性格とも関係しているだろう。ぼくはむしろ微小なものは社会的、あるいは実際的な面で何ら重要性を持たない、そして、なきに等しいものだからこそ、現実と薄汚れた形で結合することなく、完全な独立性を保っていると考えている(…)ぼくには微小なもの―オドラデクがそうだが―はつねに非現実的なものに思われる。有益なものは継承され、引き延ばされるが、役に立たないものは現実味がないだけに美しい。すばらしくてとるに足らないもの、輝かしくて微小なものはそこにあって、あるがままの状態から変化することがない。(…)小さな事物はたえず動いているので、神秘的なものが透けて見えるし、それらの事物の動きが止まると、こちら側に抜け出してくるのだ。」》(p78-79)
陰謀論、とか、世界の単純化であり複雑化、だとか、いろいろと思いつくことはつくんだけど、説明しきれない。