クエンティン・タランティーノジャンゴ 繋がれざる者』見た。おおー、待ち望んでいた…。

凶暴で強烈な音響。
冒頭歌いあげられる"Django"(相変わらずすばらしすぎるテロップの出方、フォント)、暗闇の銃声、鞭打たれる音、張り裂けそうな叫び声や悲鳴、低温響くラップ(「100 Black Coffins」くっそかっこよかったわ)、恐ろしげな犬の唸り声、怒りを込めて激しく叩かれる机、怒号と叱責、爆発音。
…そう、音で言うなら、呼称、名前、名前が呼ばれることについて、が強いモチーフになっている。名を偽ることとそれを暴くことが何度も登場するし(賞金首、手配書)、「ブルームヒルダ」の名前が、ドイツの古い神話を呼び起こし、その力を借りて奪還を成し遂げようとするし(それはシュルツとジャンゴの結び付きにもなる)、カルヴィン・キャンディの呼ばれ方の違いが起こす雰囲気(フランス風にするかしないか、スティーヴンは呼び捨て、など)、などなど。
『イングロリアズ・バスターズ』にも、その要素はあったけど、それより過剰だ。
そして、前作と同様に、ラストを、銃撃戦、激しいカタストロフで終わらせずに、そこからもう一段、真の「落とし前をつける」ことへの強い決意があふれている。卍の証を額に刻むように、キャンディ・ランドを跡形もなく消し去ってしまう展開を用意する。
銃撃戦のジャンゴのピンチの時、ここで、「南北戦争の2年前」、という時代設定から、戦争に巻き込まれてしまって、このカップルは結果的に救われるんじゃないかと思っていた。というか、『リンカーン』に繋がってしまう(ヒトラーチャーチルを出してしまったのと同じ「うかつさ」で)んじゃないかとすら。まぁでも、そうしてるようなもんですよ、テロップだしてるしね。
にしても、ディカプリオ、正直、すげーよかったんだけど、アカデミー賞にノミネートすらされていないのか?これでだめなら、完全に嫌われているとしか思えんのだけど。
そりゃあクリストフ・ヴァルツが良いとか、ありますが、正直、ランダ大佐は超えてないし…。ドイツ、という一点で前作と今作の(皮肉さもある)接続が起こっているからこそ余計にそう思う。
スパイク・リーが怒ってるの、なんかわかる気がする、ってなくらい「nigga」が多用されておるし、KKK的集団の覆面問答(誰しも気になるところではあったけど)はくそくだらなくて笑った。
萌えとかまじ矮小化。と、突発的暴論。