ヨアヒム・ローニング、エスペン・サンドベリ『パイレーツ・オブ・カリビアン/最後の海賊』


とりあえず序盤の、上空からとらえられる銀行"牽引"シーンで、建物の幅が道に綺麗にはまって進んでいく姿がもう面白い。これが、この映画全体を象徴しているようだ。

ラフでルーズ、その場限りで、偶然であるはずなのに、まるで、前から用意されていたかのように、ぴったりとはまる、きれいに元に戻る、元の根に戻る、きちんとしかるべき場所にたどりつく。アミューズメントパークのような造り…というのはあまりに安直だからともかくとして。

今作は徹頭徹尾、「過去」の物語(しかし今シリーズが過去から離れたことなどなかったかもしれない…)。物語というより「機械」を思わせる血の通ってなさがある。きちんと蘇る因縁(ヤングジャック!)、伏線とは言い難い非有機的な「そのもの」としてゴロっとスクリーンに現れる"もの"たち(船、コンパス)。そして描かれるのは、ある人物(たち)の、過去(今作では"≒呪い")の清算とそこからの"帰還"。