ヨーゼフ・ロート『ラデツキー行進曲』上巻読み終えた。
《騎手は無限のかなたからこちらへ向かって突進してきた。最初は灰色のちっぽけな点にすぎなかったが、猛烈なスピードで一本の線になり、一個の個体になり、一人の騎手になり、人間と馬の身体をした巨大な伝説の鳥、つまり翼のある一つ目の巨人キュクロプスになり、跳躍が成功すると、樽の並んでいる百歩手前で、青銅のごとく立ち止まった。それはいわば生命のない素材でできた立像、記念像のようであった。》(p257)
《彼は小さな銀の卓上鈴の一つにももはや手を触れなかった。ときにはぼんやりして鈴に手を伸ばすことがあっても、ただそっと触れるだけだった。》(p283)
死ぬこと、かつて繁栄を極めたものが衰退していくこと(その予兆を感じとること)。
そして昨日飲んだ帰りに買った長嶋有『安全な妄想』早速読み終えた。
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- 出版社/メーカー: 平凡社
- 発売日: 2011/09/22
- メディア: 単行本
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