長嶋有『問いのない答え』読み終えた。
《私がそうすれば皆がそうしたのと同じだ(そんなわけ本当はないのだが)。(…)人は取り替え可能だ。》(p253-254)
《私も、そこにいなかったというだけで、同じようにみようとしてみた一人だった。》(p257)
《我々は取り替え可能だ。だがもし取り替わったとしても、そのどの我々も、きっと素敵だ。》(p260)
ここには、同じ事が、違う言い方で、違う見方で書かれている。異なる人々がそれぞれ、肯定的な回路や、否定的な(というより恐れのようなもの)回路を経て、同じ事にたどりついたというイメージか。そして、その結果(この場合、結論自体のことでなく、現象のこと)こそが尊い。人間は皆同じ、似ている、変わらない、…どんな言い方でもいいけれど。その同期っぷりがすばらしいしおもしろい。