ガイ・リッチー『キング・アーサー』


いやいや、なかなかどうして、悪くない…というか、多分ガイ・リッチーが好きか嫌いかというのがあって、自分は好きなので、良いなぁ…で終わった。ガイリチは、イギリスの英雄譚の語りなおしがしたいのかなーと思った。

濡れた土地としてのイングランド、について考える。それは湿地帯ということではない。土地を浸食する水は、地から湧き出るのではなく、外からやってくる。雨として降り注ぐ。川として岸辺に訪れ、流れをつくる。もちろん海に囲い込まれた島として存在している。


水は何をもたらすか。1つは、死だ。登場人物たちは皆、(「わざわざ」)水辺までやってきて死を遂げる。
そこが「島」である以上、逃走の行きつく先が岸辺であることは必然だからということもあるだろう。


追手から逃げる先としてではなく、自らの意思で水に近づくことで導き出されるのが、もう1つの、異界との境界ないし接続点、という機能だ。そして、そこを訪れたものは、代償と引き換えに、人ならざる力を手に入れることになる。
今作の最も象徴的なアイテムたるエクスカリバーは、水が干上がったことで姿を現したので、それを手にしたアーサーは、再び水辺に近づき、濡れなければならなかったのだろう。