ミシェル・ゴンドリー僕らのミライへ逆回転』を渋谷で見た。モス・デフジャック・ブラックのぼんくらぶりが最高。モス・デフの童貞っぷり(シャツインや(靴かっこいい…VANS?)、ムスターシュを確かめるくだり!半分いらっとする細かいディテール…)、話聞いてない感、思いつきで口走ってしまう感じや、ジャック・ブラックの、悲壮感とは少し違うトレーラー暮らし、本来の目的からずれまくってく感じ、映画制作でテンションがん上がりなとこ、などが、なんというか、映画な人間で見てて気持ちいい。
全編を通じて、映画を見ることや作ることの多幸感にあふれている。それから、それらにつきまとう厄介なこと(「スター」の存在、とか、演技や演出へのそれぞれのこだわり、とか)やうさんくささ(著作権とかチェーンのレンタル屋とかDVDとか)を(もちろん愛情とともに)皮肉ってもいる。
「いるジャンルは、コメディとアクションだけ」というミシェル・ゴンドリー自身にも向けた諧謔とか。
スウェードは、見るように作ること。そして、作るように見ること。それも一つあるなと思った。そして、町に、その土地に、映画を作るように(うそをほんとにするように?)、見入るように生きてみる。
オープニングの空撮からカメラが高速の下にまわりこんで行くのや、つなぎのトリックアート、磁力の描写、途中の色んなスウェーデン製ビデオのつながり、が、どれもPVの一発の画、流れ的だった。
車なら『バック・トゥ・ザ・フューチャー』だしボクシングなら『ロッキー』…。
ラストは、逆になるとこから、あーそうだよなーと思える感じ。
あとやっぱり、まねできそうなのがでかい。『七人の侍』『東京物語』『DOA』、例えば夏目漱石の伝記とか…ただやってみるとコントっぽく見える気がするが…
行定勲っぽい人がいた。
ブッツァーティ『神を見た犬』を読み終えた。「戦艦《死》」がおもしろい。陰謀論(それも恰好の題材のドイツ第三帝国)、閉鎖された空間で時間や感覚や人間が歪んでいくこと、目的を失っているのに動き続けること、死と幻影、といったものが詰め込まれている。
後は、聖人や、神や、司教や司祭などという存在が、微妙にずれたものとして描かれている。「その煙もまた、神なのだった。」という文章もすばらしい。