サム・ライミ『オズ はじまりの戦い』ようやく見た…。

善きものを志向し、嘘をつき、フィクションを語る。その手段として、作中で用いられるのが映画(それも「原始」の…)なのだから、その愛たるや。
しかし一方で描くのは、オズの偽りを真実と思い込む純粋さと、遠隔視のできる水晶玉を皮肉にも使用できるにもかかわらず脱却できない視野狭窄さによって破滅へと堕ちていくセオドラと、虚言や虚飾を見抜くしたたかな目と思考と、その飾りの奥にあり見えないものを信じる強さ(忍耐、といっていいかもしれない)を持つグリンダ、であって、この二人のどちらが「悪」なのか、というと、必ずしも前者を指し示せない揺れがこの作品には存在している。
つまり、ティム・バートンサム・ライミの興味の中心はかなり近接している、ということ。だからこの映画も、非常にバートン的である。逆もまた真なりだが。
3Dはめちゃめちゃ効果的に使用されていて、滝つぼに落ちるところとか、カットを変えるのやめた方がいいんじゃないかと思うくらいだった。でも、あそこでワンカットにしてしまうともうそれは映画じゃなくなるかもしれない。
あと、まさか、こんなに陶器の少女(無論フルCG)にキュンキュンするとは思わなかったよ…やばい…。
ラストシーンのシルエットのキスシーンを見て、やっぱリメイクの『ベスト・キッド』は良い映画だったんだよ!と擁護したい気持に駆られた。だから、絶対に『アフター・アース』も見るんだ!…いやそんなこと言わなくても見るけどね、100%。