今日ではないんだけど、白石和彌『凶悪』見た。

例によって、箇条書きになってしまう。
須藤の「あ、先生関係ねぇや」や、義母に叩かれる嫁を音もなく横で見つめる藤井(見てるこっちは、え?いたの?、ってなるような現れ方する…といっても文章で表現しづらい)、など、少しくすっと笑えるようなシーンが前半はまだあったのだけれど、中盤からの、事件の回想は、重たいものを食らい続けたような感じになった。というか具体的には、ジジ・ぶぅが延々痛めつけられるところ。事実は別にして、正直初日の夜に殺したでも違和感ないのに、3日くらいかけてる。
五十嵐役の小林且弥、どっかで見たことあるな―と思い調べてみたんだけど、まったくわからず。いや実はうすうす気づいてはいたんだけど、シャイア・ラブーフに似てるんだ(検索してもひっかからない…なぜ)。きれっきれのヤクザの舎弟の役だったのだけれど、とてもかっこよかった。
自分が映画の暴力を好むのは、尋常でない速さの100m走や、素晴らしいテクニックを駆使するサッカー、を見るとおもしろいのと一緒だということ。自分にはできない、ある種人間を超えた行為。今作ではやっぱり、須藤が舎弟を撃ち殺すシーン(車内で発砲したその光の明滅が窓から見える…)とか、福森さんの車追突(ワンカット)とか。
ところで、リリー・フランキーはほんとなんなの?なぜあんなにうまいのか。
藤井の家の階段の踊り場の本棚、ハヤカワのポケミスで埋め尽くされていて、あの画で、一発でこいつがどういうやつかわかる。奥さんから「楽しんでたんでしょ」と追及されてもしょうがない。ただ1つ、言うのであれば、なんで、最初に着ているトレンチコートが黒なのか。「そういう」やつならベージュじゃないの、と。須藤の、薔薇の柄のセーターや、ゆったりとしたレザーのジャンパー、先生のループタイ、は考え抜かれた衣装だと思ったのだけれど、追跡者側のファッションが弱い。普通のYシャツ(パーフェクトスーツファクトリーとかで買えるようなの)とかジャケットじゃあねぇ…「そういう」やつ感が伝わってこない。
明潮社の編集部の部屋、せまっくるしいなぁ、と感じてしまう。通り一遍な話になってしまうけれど、動きがないとおもしろくない(後述)。『ゾディアック』や、『クライマーズ・ハイ』なんか思い出す。

The Weeknd『Kiss Land』愛聴している。

Kiss Land: Deluxe Edition

Kiss Land: Deluxe Edition

ところでThe Internetの新しいアルバムはいつ出るのか。itunesではもうでてるみたいだけれど。


安堂ロイドの看板、246を走ってるといたるところにあるので、金かけてるなぁと思う。木村拓哉ってだけで楽しみにしてしまっている自分もいる。
…ってSMAP GO!GO!今日だったのかー完全スルーしてた。おい。見たかった…古畑のやつ。


で、内田樹『疲れすぎて眠れぬ夜のために』読み終えた。
でも疲れすぎて眠れないなんてことないな。
読んでると「国際社会で生き残るためには…」みたいな説教が始まって、ん?ん?となったけれど、おおむね論旨には同意。ただもうこの手の内田本は読まないと思う。レヴィナス三部作、とりあえず『レヴィナスと愛の現象学』が読みたい。『他者と死者 ラカンによるレヴィナス』がおもしろかったので。
『疲れすぎて〜』にもラカンっぽい部分がある。資本主義的人間の習性。
《他人がしたことを見た後にならないと、「自分が一番したかったことを思いつかない、それが人間です。》(p255)
《(…)「みんなが欲しがり出した」からです。他者の欲望に感染したのです。》(p248)
アイデンティティとは、まるごと「作り話」なんです。》(p194)

あとは、型、風通しを良くすること(父と母と子供、だけでなくそこに「おじさん」「おばさん」を含めた家族構成が最小単位である、ということ)、つまり「古き良き」日本の文化について(それを捨てていいの?っていう投げかけ)…って別に矮小化してるわけではなく、正しいんだけど、ただそういうことを述べているだけ、ということ。
中身がなくても、その行為や動作ややりとりだけが存在させればよい、本質とか真実とか本性とか誠実さとかいらない、そんなもんにこだわるより
いくつもキャラを使い分け場ごとに自分が作り上げられれば良い、…ってまとめると若干やばさあるな。全面的に同意しますが、これをおおっぴらにすることは、非人間的の誹りを受ける可能性がある。

個人的には、
《(…)システムの安定を犠牲にしても、財貨やサービスや権力や情報が「どんどん運動する」のを見たいという、非合理的な欲望に身を灼いてもいます。》(p246)
というの腑に落ちる部分。これ映画のことを言っている。

《しかし、それまでの生活の中で、穏やかな家庭生活を構築することや、敬意を持たれる社会的ポジションに就くことや、信頼できる友人や、愛情こまやかな恋人を得ることができなかった人間――総じて「真の意味で利己的にふるまう」ことを怠った人間――には「逃げる先」がありません。》(p24-25)
《(…)責任を取らない人間は「信義」の上に成立する社会関係にはいつまで待ってもコミットすることができないだろうということです。》(p76)
…うん、全然やってない。し、できればやりたくない。


先日、大学の時の友達に久しぶりに会った。延々、変わったセックスと、女の子の話に終始していた。
いや、嫌いじゃないのだけれど、なんつーか、…それだけ、ってのがだめなのか。
今も、その時も、それに対する言葉がうまく出てこない。最近のボキャブラリーが貧困になってきたのと相まって、ちょっとした失語状態になった。
おととい、食事していた横で、女性が、「ハンバーガーのデリバリーの男とセックスをした経緯」を延々しゃべっていた。
(まぁそれを聞いてる自分も自分なのだけれど、しかしそういう場でのはっきり言って聴きたくもない他人の会話がどうしても耳に入ってきてしまうのはなんか…病気なんだろうか)
それ聞いて、友達のことを思い出して、またもやもやとしていた。
まず、うらやましいのか?という疑問。
なんというか、そういうことになりかけたり、そういうことをしそうになったり、はあったけれど、どっちかっつーと逃げたし避けてる。
めんどくさい、と感じている。今の彼女との付き合うまでにも、そういう逃避期間みたいなものがあって、ほんともうしわけないとは今では思う。
じゃあなんなのか。だからなんなんだよ、ってことか。
この2つの「話題」に共通するのは、話者はそれを、笑える話、笑ってもいいよと相手に提示している、ということだろう。
実際聞いてる人間(前者なら自分、後者なら友人女性)は笑っている。
…とまとめていて、結局自分が単に、セックスとか恋愛をさほどおもろいもんだとおもっていない、ということなんじゃないかと思いいたった次第。
しかし、あの時、聞き手の女の人は別にすげーおもしれーと思ってはいなかったんじゃないか。勘だけど。
つまりその手の話は、別に、おもしろくはない。はっきりいうと。
しょうがないから、コミュニケーションを、その場を円滑にするために、拒否しないで聞いているけど。
あ、つまり、相手に対する自分の気持ちの問題だ。相手が好ましかったら、そういうのも受け容れられるのか? 先述の、内田さんの本にひきつけて考えれば、そういうことになる。
ただ、中身がない、のと、おもしろくない中身がある、のは違うな。
なぜおもしろくないのだろうか。
何かが貶められている気がするからだろうか。不快からだろうか、友人の、顔を知っている人間のセックスが。
わからない、し、平日の、月曜の夜にそんな深く考えることじゃない。無理。結論出ない。
とりあえず、ただ単に、自分が好きじゃないから、ということにしといた方がいいか。
でもさっき「結局自分が単に、セックスとか恋愛をさほどおもろいもんだとおもっていない」と書いてけれど、実はそんなことない。と思う。
ただ、友人の、隣の席の女性の、語るような、語り口では、視点では、おもしろい、とは思っていない、ということだろう。
別の、それとは違う、…何か。むずかしい。表現できない。
自分の体験、言葉にできない、質感、感覚。のおもしろさはある、ただ、それだけだ。
それを仮に、言葉にするならば、それは多分、すごく、繊細なことになるはずだ。さりげなく、それに触れているかどうかも分からないくらいの。
個人的、自己に連なるものではない、そういった話題を、表現するのは、まず、むずかしい・困難だ、という視点に立つ必要があるんじゃないかな―と。恋愛のディスクール?…違うな。様々な恋愛映画、ラブストーリーを想起する。
(有名人とか、そういう人が公に語るのは別)
こうして考えていると、ってかそもそも、そんなにおもしろいって重要か?という気がしてきてしまう。だからいやなんだ。
でも、おもしろさ、は大事だ。
あ、ほんと全然関係ないのだけれど、大学生とか高校生とか中学生、というかつて自分もそうであったもの、をやっぱり嫌いだと感じている。そういうもの共が内包する「感じ」すべてを嫌悪している。
いや関係なくなくて、その「感じ」で、恋愛やらセックスやら女遊びや男遊びを語っているんだ。彼ら彼女らは。
それがいやなのかも、と気付いた。
それは学校、ということなのか。
閉鎖的で、同族愛に満ちている。ホモソーシャル的な空間(この場合性別とかではないような気がする。知らんけど)。
私は、そこに、殺されかけた、という気がしている。大げさかもしれないけれど。生きていけるのかこの先、という感覚を味わっていた(いまもそれは続いているようだ)。
だから、それを当然のものとしてとらえている考え方が、どうも、うけいれがたい。
ただ、酔っぱらえばいいのかもしれなかった。素面だときついね、くらいの感じか。でもお酒飲めないひともいるじゃないですか。
…はぁ、つかれた。長々と。
今日から日記にタイトルをつけようかと思っていたんだけど、まとまりなくてどうしていいかわからない。