ジャン=マルク・ヴァレ『雨の日は会えない、晴れた日は君を想う』


電車の中で何度も出あう人と喋るジェイクの姿に『ミッション: 8ミニッツ』を思い出したり…。あと、ナオミ・ワッツが出てるのを知って、また『追憶の森』みたいな役かなと思ったら違った。
作業着としてジェイクが履いてるパンツとブーツがかっこよくて…ブーツは明らかにティンバーランド、パンツはバックポケットのタグが見えたのでカーハートで確定した。
物語はわかりやすすぎるくらいわかりやすい。劇中で主人公が口にする"metaphor"という言葉通り、すでに故障していた中身のわからなかったもの(ここに「人」と入れてしまうのはあまりに残酷だけど劇中でそうなってるので…)が壊れてばらばらになることによってその中身を知ることができる、けれど、壊れてばらばらになってしまったものはもう元には戻せない、というモチーフに全編貫かれている。
ただ、そこから抜け出しているものがあって、それが病院にあったお菓子の自動販売機だろう。主人公はそれの不具合によってm&mを買い損ねるのだけど、自販機を壊すことはせず、その運営会社へ手紙を送る。それがそのまま作中においての語りになっていくのだけど、つまり、もし不具合があれば、壊れるまで待つんじゃなくて、まずもの/相手に働きかけて交信すればよいんじゃないか、ということ。まぁそれがわかるまで(自覚するまで)主人公は延々もの/人を壊し続けるのだけど。
冒頭からたたみかけるような短いカットの編集、葬儀シーンあたりから見ていて心地よくなってくる。爆音でかかる音楽に合わせて少年がドラムをぶったたくアクション、防弾チョッキに撃たれる銃弾などのシーンが印象深い。