黒沢清『散歩する侵略者』


最初、あー手についた血を舐めないでお願い〜って思って、続けて現れる電話での会話シーンの演技のクオリティに溜息ついたけど(にしても、今作の主要キャスト以外の脇役とか、エキストラ、黒沢映画としてはあり得ないクオリティだったな…)、桜井と天野のワンカットで車の左右を行き来するところであらいいですねえとなり、加瀬夫婦+あっちゃんでまたいいねえとなり、持ち直した。まさみとあっちゃんの姉妹とか、マジ最高すぎでしょ。自分にとって、出てるのを見るだけでうれしくなって笑ってしまう東出くんとあっちゃんが出演されているのでそれだけで満足だったりする。
しかし今作の、ともかく無茶苦茶動いてまとわりつく恒松佑里とアンジャッシュ児嶋の決定的ダメージのなさゆえ何度も攻撃し合う格闘シーンを見るにつけ、どんだけ『エージェント・マロリー』なんだよってまた思ってしまった(ベイエリア、セブンスコードの流れ)。
動きの気持ち悪さでいえば、概念奪われた人間、一言で表すなら、「キモかわいい」です。あっちゃんとかまさにそう。
白いバンの上に登るの、明らか『サイン』(黒沢さんがシャマランやってどうするんですか)だというのはわかったけど、終盤の「侵略」シーンの、あの赤い光が、目に焼き付いて離れない、赤く淀んで光る雲の中から放たれる光線、あれが『未知との遭遇』だというの、見直して気づいた。