ウェス・アンダーソンライフ・アクアティック』をDVDで見た。
やっぱ音楽良い。サントラ欲しい。ボウイのカバーもいいけど、船内で、シンセで作ったらしきピコピコした音楽もいい。ヘルメットから流れるやつとか。最後の「ネッドのテーマ」とか。ボウイにしろシンセにしろ、船内で生み出された音楽、ってことだよな。…なんか知らんけどサントラを持っていた…忘れてた。忘れて買おうと一瞬してた。
あと、メイキングを見て気付いたこと。船の断面図のシーンで、台所が紹介されてたのに、食事のシーンがなかったような…。カンパリと、ジェーンのガム、ヘネシーのとこから盗んだエスプレッソマシン、だけ?あと、未公開で、みんなでカクテルのような、ジュースのようなもんを飲んだ。
暗闇から人間があらわれてくること。夜の海岸での発光するクラゲとジェーンの登場。ジェーンは、膝から上に光がぼんやりとあたり、輪郭も微妙。そしてエレノアが去る時は、また夜である。それもはっきりするようでいて、あいまいな光による輪郭。
なんというか…サーチライトがあたっていて、はっきりと見えるんだけど、普通のサーチライトの、丸い形の光じゃなくて、崩れているような感じだから、ジェーンやエレノア自体の、輪郭に寄り添うような光になって(しまって?)いる。
では室内は。台所っぽいところにいるズィスーの前に真っ暗な入口の向こうからエレノアがあらわれる時の、その現れ方が、とてつもなく急で(つまりだんだん見えるとかでなく)でも自然でなめらかだ。そして、また暗闇にすぐ消えてしまう。本当にすぐ見えなくなる。でもズィスーとの会話は続く。そして、船内は、繰り返し、配線がおかしいとかなんとかで停電する。でもそれは、一部の部屋だったりするので、他の部屋からの光がもれてきて弱々しく明るい。でも室内だから基本真っ暗でもある。
…なんだかよくわからなくなってきた。暗闇が多い、暗闇の処理が良い映画だということ。
あとはカメラ。
横、水平に移動する。よくやるのは90度の動き。
腰から上、もしくは膝から上を映す。そうならなくなったらすぐ違うカットにいったりする。
あとは、イメージだけど、一筆書きのような動き。誰かを映す→別の、しゃべってる人へカメラが動き映す→またもとの人のとこへ戻ってくる、までが、一つの動きになっている。カメラが、別の人間を映していくといっても、(カットをわらないからでなくて)イメージが別々にならない…?いや、というより、例えば、誰かの動きに合わせて、カメラを動かして、様々な人間を映していく、のではなくて、静止から静止への動きが、多い感じなのか。
よかったのは、エレノアが、ネッドへズィスーが銃を渡すのをやめさせようとする時。カメラの上下運動のはんぱないなめらかさときもちわるさ(?)。
そして、例えばヘネシーの船に遭遇するシーンで、船上で整列してる船員を映して最後にヘネシー、とか、最後ズィスーとネッドがヘリに乗り込む時、手前から奥へ、見送るジェーン、ビル、ヘネシーがそれぞれ挨拶やらをとっている、とか、けれんみ、というのか、ちょっと気恥ずかしくなる感じ、で撮るというのがあると思う。それがめちゃめちゃいいんだけど。『ダージリン急行』でいうところの列車に乗り込む時のスロー、みたいなもんか。
あとは、意外とアクションが多かった。しかし、なんというか…子どもの雪合戦とか水鉄砲の遊びみたいな銃撃戦だったような。ともかくがんがん撃ち合うみたいな。例えば、ホテルシトロエン(ここ島も含めてロケーションが最高)のアクション。ここでは、海賊を探す動きがとてもいい、んだけど、その中では撃ち合いはない。せっかくみんなで動き回っているのに。撃ち合いが始まるのはちょっとの間の停滞があって、その状態を維持しながら唐突に、ズィスーが海賊の集団を見つけることによる(というか銃撃戦を主に行なうのは、ホテルでも船上でもズィスー1人だ)。そして、退却の動きの中で、銃撃戦ではなくて、後ろへ発砲しながら船へ戻っていく。そういうアクションはいらない、ということなんだろうか。これに関連するかわからないけど、船上の時の実習生や、ホテルでのヘネシーは、明らか撃たれてるのに死なない(でもネッドはヘリで海へ墜落しただけで死ぬ)。まるでごっこみたいに。
小道具がやっぱいいなー。赤い帽子。契約してたアディダスのスニーカー。音楽の流れるライトつきのヘルメット。
あと、タツノオトシゴをグラスに入れるシーン。なんか微妙にカットがわれてて、変な感じがしてよかった。
イルカカメラ!!何重にも介在して、ジェーンとネッドのキスを目撃するズィスー。
船上で目隠しされてる感じ。目隠し…ってなんかおもしろい。
旗に「N」を入れなかったのはクラウスの「K」がキングスレーの「K」でもあったからじゃないのか?