ジェームズ・マンゴールドウルヴァリン: SAMURAI』見た。3Dの意味あんまなし。

「獣」のモチーフ。
冒頭、カナダ山中。寒林の中をゆくローガン。いつの間にか巨大なグリズリーが、少し離れた横を、つかず離れずを保ちながら歩いている(このシーンだけですでに、おっ、と思うのだが、それは置いておくとして)。
日本で、瀕死の矢志田老人は、かつての命の恩人を「クズリ」と呼ぶ。

ヴェイパーやマリコ、の外見や服装などの要素の力を借りて、その姿を現すジーンの幻影。

ローガンが、繰り返し意識を失う、意識を断ち切る、そのたびに、次に彼が目覚めたとき、事態が悪化する。というのは、『ナイト&デイ』だったりする。

増上寺秋葉原高田馬場のハイブリットなトウキョウでの、ヤクザ銃撃戦、からの、新幹線を使用したアクション、めちゃくちゃあがった。ヤクザ強すぎだろ。

あと、山奥での対忍者戦。全身に刺さる、ワイヤーがつながった矢、良かった。要するに弁慶だ。

「血統」について。
この結末だと、ローガンは矢志田を助けなければよかったんじゃないか(つまり、自分が蒔いた種なんじゃないか)という気もするがしかし、そうしてしまうと、マリコが誕生しなかったわけで(厳密に言えば、すでに息子が生まれていれば、死んでしまったってかまわないのだけれど、それだとおもしろくないのでやめたい)…という、「長く生きている」人特有の問題が発生してしまっている。
ともかくマリコは、自分の父と祖父に殺されかかった、狙われたということ。そして自らの手で、始末をつけてしまった。
永遠の生には、血の繋がりは存在しなくなる。

長崎の原爆、しかしそのシーンは直接は映像的に表現されず、事後の荒廃した街の姿のみ。

奇妙なバディ物である。ジェームズ・マンゴールドの作家性だろうか。

だらだら書いてしまったけど、おもしろかった。福島リラ、ぐっとくる。


深沢七郎『花に舞う 日本遊民伝 深沢七郎音楽小説選』読み始める。